国家資格者は無免許業者の違法性を裁判に問えない(原告適格)

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どうも、鍼灸マッサージ師の工藤 司です。
ここ最近、ブログの更新が滞ってすみません。

 

長いので結論を先に。

 

・国家資格者は無免許業者の違法性を裁判に問えない(タイトル通り)

・無免許業者の違法性を問えるのは無免許施術を受けた利用者や資格商法に騙された人に限られます。

・今まで無免許施術には泣き寝入りでしたが集団的消費者被害回復制度により、泣き寝入りせずに済むようになります。

・無免許で施術している人は上記の被害回復制度で返金を求められる覚悟を決めるか、転職して下さい。

 

さて、今日(2016/06/27)は最高裁でこんな判決が出されました。

 

債務整理、司法書士不利に 最高裁初判断、日弁連解釈を支持

 

司法書士でも認定司法書士は紛争の目的金額が140万円を超えない場合、弁護士のように代理して交渉したり、簡易裁判の代理人になれたりします。

 

債権そのもの(借金全体)の額が140万円以下で無くてはいけないのか、借金全体が140万円以上でも減額交渉などで、依頼人の利益が140万円以下なら良いのか、というのが争点の一つ。
日弁連側は前者、日本司法書士連合会は後者の立場でした。

 

もう一つは依頼を受けた総額が140万円以下でなくてはいけないのか、個別の債権が140万円以下であれば総額が140万円を超えても問題ないのか、がもう一つの争点。
日弁連は前者、日本司法書士連合会は後者の立場です。

 

最高裁判決は債権自体が140万円以下で無くてはダメ、個別の債権が140万円以下なら良し、という判決でした。
一つ目の争点では日弁連、二つ目の争点では日本司法書士連合会の立場をとったと言えます。

 

で、140万円以上の債権で行った減額交渉は認定司法書士には認められない、違法な業務行為だからそのぶんの報酬を依頼者に返せ、という判決です。

 

下記リンクはこの判決が出される前の報道です。

 

弁護士対司法書士、決着か=上限「140万円」の攻防−債務整理で解釈対立・最高裁

 

この記事のタイトルを見ると弁護士(日弁連)と司法書士(日本司法書士連合会)が争っている裁判かのように一見思えますが、実際の裁判は司法書士に依頼した人(原告)が、違法業務に支払った報酬を返せ、という裁判です。

 

依頼者と司法書士の代理人として弁護士は参加しておりますが、弁護士(日弁連)は裁判当事者ではありません。

日弁連が自分たちの解釈を認めさせようと思っても、司法書士を訴えることはできません。

 

なぜか?

 

弁護士法、司法書士法、医師法そしてあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律など、
免許制度を規定している法律は、免許所持者の利益のための法律ではなく、国民の権利や財産、健康を守るための法律だからです。

 

なので違法業務による損害を訴えることができるのは実際に依頼した人や施術を受けた人に限られます。
この裁判を起こす資格を原告適格といいます。

 

利益を守るための免許や法律では無いので我々、国家資格者はいくら理があろうとも無免許業者の違法行為を裁判に訴えることができません。
私がこのように手の内を明かしているのは私自身に原告適格が無いからです。

 

無免許施術を受けた人や、資格商法に騙された人が無免許業者を訴えるときに役立てればと思い、このような記事を書いております。

 

ちなみに無免許施術による健康被害に対する損害賠償請求では、健康被害と施術の因果関係、損害額が主に争われ、施術の違法性までは争われません。

 

健康被害が生じてない時点で争う必要があるのですが、それで争う一般の方がいるのか?という現実的な問題があります。
ところがあったんですね。

ただ、消費者契約法で争ったものだから原告敗訴となっています。

 

なぜ施術の違法性を争い、違法施術だから民法第90条(公序良俗違反の契約無効)に基づき契約無効と争わなかったのか。


消費者契約法に関連する消費生活相談の概要と主な裁判例
本文PDF9頁目、22番
東京地裁平成25年3月26日判決
改行、強調は筆者による。

 

原告の主張

 

"消費者である原告は、肩こりや頭痛などの症状についてインターネットで通院先を探し、被告らとの間でカイロプラクティックの施術契約を締結し、施術を受けた。
原告は、被告らが、原告の猫背、頭痛、肩こりはカイロプラクティックによる施術によって治るとは限らないにもかかわらず、それを故意に告げず、かえって、原告らの症状が治ると将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供したため、 原告は、本件各施術によって症状が治るのが確実であると誤認したと主張し、法4条2項により本件各施術契約を取消す旨の意思表示をし、不当利得の返還請求をした。
"

 

判決の内容

 

"カイロプラクティックの施術における「猫背、頭痛、肩こりの症状を改善させる効果の有無」については、消費者契約の目的となる役務についての「質」に該当すると認められる。
被告らが、本件各施術によって猫背、頭痛、肩こりの症状が改善していく旨の説明をしたことは認められるが、施術によって症状が改善しないと認めることはできないから、被告らが本件各施術によって症状が改善しないにもかかわらず改善する場合があると告げたと認めることはできない。
また、被告らが、原告に対し症状が軽減、消失しないことを告知しなかったことが法4条2項に反するとはいえない。
そして、被告らが「猫背、頭痛、肩こりが治る」などという断定的明言をした事実を認めることはできず、 原告において、猫背、頭痛、肩こりが確実に治ると誤信したと認めることは困難である。
被告らが、症状が改善しない場合があることを故意に告げなかったとも認められない。
以上により、原告の本件各施術契約の申込みの意思表示につき、法4条2項に基づいて取消すことはできないとして、原告の請求を棄却した。
"

 

 

というわけで治せない場合に違法施術として損害賠償を求められる可能性も否定出来ないわけです。

 

国家資格者がその免許の範囲内で業務を行っている限りでは民法第90条違反は成立しませんが、無免許で施術していれば成立するわけです。


その際、医師法違反や人の健康に害を及ぼすおそれを証明してくるのか、判例変更を原告が主張するのか。

ちなみに契約無効の債権の時効は10年です。


無免許施術の違法性を認定されて、返還を求められたら10年間の施術料を返さなければなりません。

無免許でこの業界に入ろうかと思っている方はその覚悟をして入ってきて下さい。

 

今年の10月からは消費者被害回復訴訟制度というのが実施されます。
詳しくは「消費者裁判手続特例法という法律:集団的消費者被害回復訴訟制度」という記事で書いております。

 

集団的消費者被害回復制度については政府による動画もあります。

 


振り込め詐欺の予防

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どうも、鍼灸マッサージ師の工藤 司です。

地元町内会では防犯連絡員という役職をしております。
その総会が先週の金曜日にありましたので参加してまいりました。

被害者として警察に相談したことがある人であればわかると思うのですが、思ったように悪人を捜査・逮捕したりはせず、警察に不満を抱えることが多いわけです。

公権力、ましてや警察というのは悪人であってもその人権を尊重せねばなりません。
ましてや告発者のほうが警察を利用する悪人の場合も有ります。

今月、とあるイベントで無免許業者が出店していたので「違法行為ではないか?」と指摘したら警察を呼ばれました。

こんなのに呼び出される警官も気の毒であり、こんなふうに呼ぶ人がいるから警察の対応がオオカミ少年のごとく、深刻な状況であっても甘く見て対応できなくなる、というわけです。

ちょっと話がそれましたが総会には山県警察署の生活安全課の係長が出席されました。
刑事ドラマなら所轄の刑事課や本部の捜査一課が馴染みが深いですが、実際の警察で忙しいのは生活安全課であり、無免許医療行為などの取締も生活安全課の担当だったりします。

で、振り込め詐欺の防止に力を入れている方で、いろいろ考えておられる。

よくある警察批判、特に交通関係では予防よりも摘発に力を入れている、と言われることもありますが、生活安全課に関してはちゃんと防犯を優先して考えられてるようで。
そういう熱意のあるノンキャリ警官に出会えたのは収穫でした。

このような熱意のある警官が無免許取締もしていただければ、とは思うのですが。

我々は高齢者に接触する機会の多い業務ですので、高齢者を対象にする犯罪の予防にはご協力させていただきます。

画像は総会で頂いたチラシで、振り込め詐欺対策用の電話機類もあるそうです。

振り込め詐欺

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消費者裁判手続特例法という法律:集団的消費者被害回復訴訟制度

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どうも、鍼灸マッサージ師の工藤 司です。
米国スターバックスに関するニュースで、便利な知識が書いてあったので紹介ついでに、その知識、というか日本に導入される制度について書きますね。
「氷多すぎ」米スタバに客が「5億円超」の損害賠償請求、日本でも可能?


上記の記事からですが、

"スターバックスが虚偽の表示で不当な利益を得た詐欺の疑いがあると主張。過去10年間に氷入りのドリンクを購入したすべての顧客を代表するとして、500万ドルの損害賠償を求めている。"

アメリカの法制度は詳しくありませんが、よく懲罰的損害賠償というのは聞きますね。

そんなのが日本でできないのは皆様、ご存知のとおりです。

"「まず、日本では、個々の消費者が他の消費者を代表する形で損害賠償請求を行うことは認められていません。個々の消費者が請求できるのは、あくまでもその消費者自身が被った損害についての賠償のみです」"

というわけで日本で裁判を起こせるのは原則として被害者のみです。
無免許マッサージ業者がいたとしても、実際に施術を受けていない我々国家資格者が懲罰的損害賠償を求めるわけにはいかないのです。
施術を受けた被害者自身が裁判を起こさなければいけません。

で、新制度の話になります。

"「もっとも、日本においても、平成28年10月から、アメリカの制度とは異なりますが、一定の要件を充たす集団的な消費者被害について、国が認定した消費者団体が原告となって訴訟を起こし、個々の消費者の被害回復に向けた手続を行う『消費者裁判手続特例法』がスタートする予定です。
したがって、今年10月以降に発生する集団的消費者被害事案については、この新しい制度に基づいた被害回復がなされる可能性が出てきます」"


キーワードは「消費者裁判手続特例法」ですね。

検索してみると消費者庁のページが有り、Q&AのPDFもありますが、読む気になれませんね(汗)


この記事がわかりやすいかと重います。
強調は筆者による。

"今回の手続は、消費者に使い勝手のよいものとしての制度設計がされました。まず、消費者には法律的な知識が十分ではなく裁判の経験もない人は少なくないと考えられます。そこで、消費者にこの手続を使ってもらうための手法として、被害を受けた消費者が自ら主体となって訴訟手続をとるのではなく、その消費者に代わって国が認定した適格消費者団体が事業者に被害回復の訴訟を起こせるようにしました。まずは適格消費者団体が訴訟を行い、判決あるいは和解により一定の金額を受け取れる方向になった段階で、消費者は適格消費者団体に授権することにより手続に参加することとしたのです。なお、消費者がこの手続を利用することなく、これまでのとおり民事訴訟手続によりこの手続では認められない人身被害等の損害の回復を求めて自ら訴訟を提起することができます。"

事業者との裁判を消費者団体が行い、その結果に基づいて消費者に返金するというのが大雑把な感じの説明になります。

抽象的な説明ではわかりにくいですし、当業界に関係ありそうだから記事にしているので無免許業者を例に上げますね。


無免許業者にお客さんがたくさんいました。
お客さんはみんな、免許制度のことは知らなかった。

で、あるお客さんが免許制度の存在に気づき、違法な施術契約だから公序良俗に反し、民法第90条などの規定に基づき、施術料金の返金を求めた。

ここで無免許業者は「うちの施術は人の健康に害を及ぼすおそれの無い施術で、合法な施術でございます。」といい、返金には応じなかった。

「違法な施術」の証明は手間がかかります。
弁護士費用を考えると返金してもらっても赤字になってしまいます。

そこでこの「消費者裁判手続特例法」が生きてきます。

無免許業者に対し、消費者団体が訴訟を行い、違法施術であることを立証し、返金義務がある判決を得ます。
判決を得られたら相談した消費者や顧客リストのお客さんに通知します。
そして領収書など、実際に施術を受けたことが証明できれば返金されるわけです。

一回の違法施術の証明で、皆が返金を受けられるわけです。

なので、マッサージや医行為に該当するような行為を行っている無免許業者さん、転職をお勧めします。

また以前の記事で書きましたが、医業類似行為に関する判例は変更される可能性が高いです。
変更されたら治療目的の施術であればそれだけで返金対象です。

公序良俗に反する契約はいつでも無効にでき、その債権の時効は10年です。
つまり無免許施術で受け取ったお金は10年経つまでは安心して自分のものとは言えないわけです。

そういうリスクを抱えて、無免許施術を続けたり、整体師とかになるぐらいならちゃんと免許を取るか、別の道を歩んだほうが良いかと思いますが。

ちなみに法律に詳しい訪問マッサージ師を選ぶメリットとして、このように消費者問題に詳しいので一人暮らしの高齢者の生活を守るにはうってつけかと思います。

たまには宣伝しないとね。

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職業選択の自由と規制の合憲判断の段階理論

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この記事の著者は鍼灸マッサージ師であり、なんら法律に関わる専門資格を所有してないため、一部不正確なところがあるとは思いますが、ご容赦ください。

詳しい内容を把握したい方は大島義則著、法律文化社「憲法の地図ー条文と判例から学ぶ」101頁以降、および有斐閣別冊ジュリスト217号憲法判例百選機梁6版]205頁、212頁などを御覧ください。

前回の記事では薬事法で薬局の距離制限が違憲判断された裁判のことを書きました。

この裁判、および職業選択の自由に関する規制の合憲違憲の解説として目的二分論というのがよくされます。

健康被害などの危害を防止するためなどの警察目的(消極目的)で職業選択の自由を制限する法律の合憲判断には厳しい基準を適用し、経済的弱者などを救うため(積極目的)に職業選択の自由を制限する場合は不合理であることが明白な法律のみ違憲にする、という考えです。
詳しくはwikipediaの記事をご参照ください。


しかしその後の最高裁判決は目的二分論では説明がつかないのが多くなります。
特に平成12年に出された司法書士法違反事件の最高裁判決は登記手続き代行業務を司法書士のみに認めた司法書士法に関して合憲と判断したのですが、消極目的規制であるのに合憲性の説明は「あまりにも簡略な説示」でした。

そこで有力になってきたのがドイツの薬局判決で採用された段階理論です。

職業選択に対する規制を

(1)職業活動に対する規制(事後規制)
(2)主観的要件に対する規制(本人の努力次第でなんとかなるもの)
(3)客観的要件に対する規制(本人の努力ではどうしようもないもの)

の3つに分け、合憲審査基準の厳しさが3>2>1となります。

(1)は職業を選択、あるいは認可された後の活動などに対する規制で、事後規制です。

あはき法で言えば骨折・脱臼部位に対する施術の際の医師の同意を得ることの義務、あるいは鍼灸を行うときに消毒をする義務、守秘義務などです。広告規制がこの職業活動に対する規制か、表現の自由に対する規制なのかは意見が別れるところです。

(2)は本人の意思・努力・能力次第でなんとかなる要素に対する規制です。

受験制限のない免許制度はこの最たるものです。
鍼灸マッサージ師の免許は指定された養成校を卒業しないと受験資格を得られませんが、養成校自体の入学は一般に開放されており、生まれや性別、人種などで受験者を差別しておりません。

またあはき法第12条で禁止されている医業類似行為は医師免許を取れば医業として自由に行なえます。
そのためあはき法第12条の規制も(2)に該当します。

(3)は本人の努力ではどうしようも無いことです。

薬事法違憲判決では既存薬局の場所は自分ではどうしようもない、というわけです。

あはき法上はこれに該当する規制は無いはずです。
あはき法第19条はどうなのか?って気はしますが、自分の意志で盲人になることも不可能ではないですし。
この規定に当てはまるのは医療関係では助産師(女子のみに限定される)ぐらいですかね?
性転換も法律上は可能なようですが。

ドイツ薬局判決は日本の薬事法違憲判決にも大きな影響を与えたとされており、司法書士法違反事件の最高裁調査官解説も、消極目的規制ではあるが、資格制度による規制であることから合憲性審査基準を緩和しているそうです(大島前掲105頁)。

司法書士法違反事件では以前の記事で解説した歯科医師法違反事件も引用されています。


歯科技工士が義歯制作に伴い行う可能性がある歯科医行為は限定されていますが(だから歯科技工士法第20条で列挙、禁止されているとも)、医業類似行為はそのように、事前に限定することができないことは以前に書いたとおりです。

そのために禁止処罰対象を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」に限定したのも理解できない話ではありませんが、その結果、被害者が出るまで取締がなされず、健康被害が生じているのは国民生活センターが報告したとおりです。

無害な可能性がある行為を禁止処罰対象にしなかったために無免許の医業類似行為が放置され、健康被害が発生する、というのは「単なる観念上の想定」ではなく「事実」なのです。

そのため無害の可能性があっても無免許の医業類似行為を行っただけで禁止処罰するのは危険な施術行為による健康被害を防ぐための「確実な根拠に基づく合理的な判断」であります。

そのため、現在、裁判所にあはき法第12条を判断させれば昭和35年の判例変更も可能だと思われます。

もし、無免許業者を違法行為と指摘したり、保健所・警察などに告発したりして、無免許業者から
「名誉毀損や業務妨害、虚偽告訴だ。削除や賠償に応じなければ法的手段を取る。」
とか言ってきたらむしろ判例変更のチャンスなのです。

無免許業者の脅しに屈してはなりません。


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評価:
大島 義則
法律文化社
¥ 2,160
(2016-04-27)
コメント:憲法22条に関する判例を概観するのに役立ちます。

評価:
---
有斐閣
¥ 2,263
(2013-11-13)
コメント:図書館から2度借りたのに結局購入。


薬事法の違憲判決

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前回の記事では三権分立と、最高裁判例が変えられた例として婚外子の相続差別違憲判決を解説しました。

昭和35年の医業類似行為の最高裁判決で問題にされたのは医業類似行為の禁止規定(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第12条)が憲法22条一項に違反するかどうか、という点です。

日本国憲法第22条一項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。


今回は法令が憲法22条一項に違反していると最高裁が判断した薬事法の判例を見ていきます。


状況に関してはwikipediaの記事を参照してください。

なお、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第12条の、医業類似行為の禁止規定は合憲限定解釈というものであり、違憲判決ではありません。


というより法律が憲法22条違反とされた判決はこの薬事法違反事件だけです。

この事件、違憲判決としては中学の公民の資料集で見たことがあります。
2番めの法令違憲判決なのですが、最初の法令違憲判決は尊属殺人の加重罰規定であり、事件の内容が義務教育にはふさわしくなかったのでしょう。

この尊属殺人加重罰規定も以前は最高裁が合憲判断を出していたのを、判例を変えて違憲判決を出したのでした。
最高裁判例は変えられないものではないのです。

では判決本文の4(二)(2)(ロ)(10頁目)より、引用・解説します。
改行・強調などは筆者による。


 " ところで、薬局の開設等について地域的制限が存在しない場合、薬局等が偏在し、これに伴い一部地域において業者間に過当競争が生じる可能性があることは、さきに述べたとおりであり、このような過当競争の結果として一部業者の経営が不安定となるおそれがあることも、容易に想定されるところである。"

過当競争による薬局の経営不安定の可能性は肯定しています。

"被上告人は、このような経営上の不安定は、ひいては当該薬局等における設備、器具等の欠陥、医薬品の貯蔵その他の管理上の不備をもたらし、良質な医薬品の供給をさまたげる危険を生じさせると論じている。確かに、観念上はそのような可能性を否定することができない。しかし、果たして実際上どの程度にこのような危険があるかは、必ずしも明らかにされてはいないのである。"

「可能性は否定できない」であって、経営不安による危険性を証明する証拠・資料が無いことが示されています。

"被上告人の指摘する医薬品の乱売に際して不良医薬品の販売の事実が発生するおそれがあつたとの点も、それがどの程度のものであつたか明らかでないが、そこで挙げられている大都市の一部地域における医薬品の乱売のごときは、主としていわゆる現金問屋又はスーパーマーケツトによる低価格販売を契機として生じたものと認められることや、一般に医薬品の乱売については、むしろその製造段階における一部の過剰生産とこれに伴う激烈な販売合戦、流通過程における営業政策上の行態等が有力な要因として競合していることが十分に想定されることを考えると、不良医薬品の販売の現象を直ちに一部薬局等の経営不安定、特にその結果としての医薬品の貯蔵その他の管理上の不備等に直結させることは、決して合理的な判断とはいえない。"

「乱売」による「不良医薬品の販売の事実が発生するおそれ」は明らかではないわけです。
そして「乱売」の原因は過剰生産など、他の原因もあり、不良医薬品の販売の原因を薬局の経営不安定に直結することは合理的な判断ではない、としています。

"殊に、常時行政上の監督と法規違反に対する制裁を背後に控えている一般の薬局等の経営者、特に薬剤師が経済上の理由のみからあえて法規違反の挙に出るようなことは、きわめて異例に属すると考えられる。"

(ロ)の前の(イ)においては医薬品に関する様々な規制があることを指摘しています。

“(イ) まず、現行法上国民の保健上有害な医薬品の供給を防止するために、 薬事法は、医薬品の製造、貯蔵、販売の全過程を通じてその品質の保障及び保全上の種々の厳重な規制を設けているし、薬剤師法もまた、調剤について厳しい遵守規定を定めている。そしてこれらの規制違反に対しては、罰則及び許可又は免許の取消等の制裁が設けられているほか、不良医薬品の廃棄命令、施設の構造設備の改繕命令、薬剤師の増員命令、管理者変更命令等の行政上の是正措置が定められ、更に行政機関の立入検査権による強制調査も認められ、このような行政上の検査機構として薬事監視員が設けられている。これらはいずれも、薬事関係各種業者の業務活動に対する規制として定められているものであり、刑罰及び行政上の制裁と行政的監督のもとでそれが励行、遵守されるかぎり、不良医薬品の供給の危険の防止という警察上の目的を十分に達成することができるはずである。"

(ロ)に戻ります。

"このようにみてくると、競争の激化―経営の不安定―法規違反という因果関係に立つ不良医薬品の供給の危険が、薬局等の段階において、相当程度の規模で発生する可能性があるとすることは、単なる観念上の想定にすぎず、確実な根拠に基づく合理的な判断とは認めがたいといわなければならない。"

「確実な根拠なし」と最高裁は判断したわけです。

もし、経営不安定による不良医薬品の供給の危険性を示す証拠・資料があればこの距離制限に関しては合憲判決が出されたのではないでしょうか?

もっともこの最高裁判決後に薬事法は改正され、この距離制限の規定は無くなりました。
仮に経営不安定による危険性を立証する資料が出てきてもこの規定の合憲性を争うことは不可能です。

話を医業類似行為の禁止規定に戻せば、禁止処罰を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」に限定した結果、健康被害が生じていることは国民生活センターの報告書から明らかです。

そして医業類似行為の禁止処罰規定は改悪・削除されておりません。

前回の記事で取り上げた婚外子の相続差別では法律上の整合性の問題を法制審議会の改正案によりクリアした旨、書きました。
医業類似行為を行ったことだけで禁止処罰を可能にしても法的な整合性は問題になりません。

また前回の記事では司法権(裁判所)は立法権(国会)や行政権の裁量を尊重しなければならない旨、書きました。
すでに健康被害が生じている資料がある以上、昭和35年の判例を維持し続けるのは司法の独善・暴走と言えるでしょう。

また日本国憲法は9条や22条だけではなく、25条もあります。

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


無免許施術を放置する判例を変えなければ憲法第25条2項の「公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」に違反すると思うのですが。



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憲法記念日を前に三権分立の話

 
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GW、いかがお過ごしでしょうか?
当院はGWも営業しております。

山形に帰省され、親御さんに訪問マッサージが必要かどうか、迷われている皆様、ゴールデンウィーク中も相談・無料体験を受け付けております。

さて、5月3日は憲法記念日ですが、無免許マッサージや無免許の手技療法が横行しているのはまさに憲法問題なのです。

このブログで度々取り上げていますが、職業選択の自由を重視した結果、無免許の医業類似行為の禁止処罰(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第12条)は「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」にのみ限定されました。

この司法判断があるために行政や国会も判決を守らねばならず、無免許業者に対する有効な手段が取れないのが現実であります。

そのため私自身はこの最高裁判例を変えることが必要だと考えております。

結論から言えば、現在、あはき法第12条に関して裁判所が判断した場合、判例変更は十分有り得ると思われます。

医業類似行為の最高裁判決ですが、リンク先のwikipediaの記事にも書かれているように違憲審査に関する議論がさほど成熟してない段階での判決でした。

義務教育で三権分立に関して習いましたが、三権に関わる者を選ぶ関係(図中の赤い矢印)を描くとこんな感じです(衆議院のサイトの図を改変)。

三権分立任命

国会議員(立法権)は国民が選挙で直接選ぶ。
内閣総理大臣(行政権)は国会が選ぶ(国民からは間接的)。
最高裁裁判官(司法権)は内閣総理大臣が選ぶ(国民の選択からは二段階経ている)。

総理大臣も裁判官も国民が直接選んでいるのではありません。
そのため国民主権のもとでは「国会は、国権の最高機関」となるわけです。

そして裁判官の任命に関しては直接国民の選挙を受ける国会でさえも関与できません。

国民による選択という点では
立法権>行政権>司法権
なのです。

そのため裁判所は立法や行政の裁量権を尊重する必要があります。

そして裁判所はシンクタンク(研究調査機関)を持ちません。
シンクタンクを持たないために裁判所自らが調査して、違憲判決を出すことができないのです。

一例を申しますと婚外子の相続差別問題です。
平成25年に婚外子の法定相続分を嫡出子の相続の半分とした民法の規定を違憲とする判決が出されました。

この規定については以前から憲法判断が最高裁で行われており、平成7年にも規定を合憲とする判決が出ていました。

合憲判決の補足意見としては

"本件規定の変更は,相続,婚姻,親子関係等の関連規定との整合性や親族・相続制度全般に目配りした総合的な判断が必要であり,また,上記変更の効力発生時期ないし適用範囲の設定も慎重に行うべきである"

というのがあり、

違憲判決では平成8年に、法定相続分を平等とする旨が明記された法制審議会の「民法の一部を改正する法律案要綱」に触れ、

"上記法定相続分の平等化につき,配偶者相続分の変更その他の関連する親族・相続制度の改正を行うものとはされていない。
そうすると,関連規定との整合性を検討することの必要性は,本件規定を当然に維持する理由とはならないというべき
"

と判示しています。

法制審議会が検討した結果、法定相続分の平等化以外に変更してないから違憲判決を出しても問題なし、と。

こういう検討を行う組織が裁判所には無いわけです。

昭和35年といえばまだ日本国憲法が公布されてから10年ちょっとな時代でして、立法や行政の裁量権を考慮せずに判決を出した感じです。
ある意味、司法権の独善というべき判決でしょう。

長くなるので今日はここまでにします。


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無免許業者の広告への対応から見える各タウン誌の倫理観

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どうも、鍼灸マッサージ師、工藤 司です。
クローズアップ現代の放送があってからというもの、業界内の法律などの話ばっかりですみません。


今回も無免許業者に関する話ですが、みなさまも読まれているタウン誌に関わる話です。

まず「やまがたコミュニティ新聞」です。

同業者(国家資格者)の広告が載せてあり、そういえば無免許業者の広告が載ってないな、と思って問い合わせてみました。

すると、無免許業者の広告を載せないという、やまコミの広告ガイドラインを示していただきました。

素晴らしい。
芸工大の統合問題を他紙に先駆けて取り上げたりしています。

しかし私が問い合わせたために値段とか書けない広告になり、存在しか示せない広告になってしまいました。


では一方のヨミウリウェイはどうか。


その前に山形以外の方にヨミウリウェイについて説明を。

山形市にある株式会社IMCが毎月10日頃に発行している無料の情報誌です。
ヨミウリの名前を冠しているのは読売新聞が協力しているからでしょう。

同社は山形に関する月刊タウン誌、山形ZERO★23なども発行しています。

またこのドメインのトップですがヤマガタウェイというサイトになっております。


ヨミウリウェイの今月号(vol197)にラフィネ天童店の求人広告が載っております。
ラフィネ求人yway20160410

この広告で
"厚生労働大臣認可組合セラピスト資格・日本リラクゼーション業協会認定資格取得可能"
と書いております。

この表現を見た時、一般の皆様はどう思われますか?
厚生労働大臣が認可したセラピスト資格を取得できると思いませんか?
あるいは厚生労働大臣が技術や安全性について認可した組合が資格を与えるのだと思いませんでしたか?

































この厚生労働大臣の認可は中小企業等協同組合法に基づいた事業協同組合としての認可です。

事業協同組合とは何か?
同業者の組合員同士の相互扶助の目的で運営されるのが事業協同組合です。

組合員個人や一企業だけで取引するよりも多数の組合員が一括して仕入れたり、保険契約をしたほうが有利な条件で取引できるわけです。
事業協同組合は消費者の保護や利益を目的に設立される組織では有りません。

たとえば、運転免許も猟銃免許も公安委員会(警察)から発行されるものですが、運転免許で猟銃は扱えませんし、逆も然りです。

厚生労働省は医療系免許を与えてはいますが、厚生労働省が事業協同組合として認可したからといって、医療系免許を与えたわけでは有りません。

図にするとこんな感じです。

協同組合スクール

後述の資料で示すように、これらの協同組合の認定を受けた学校に関し、厚生労働大臣がそれらの学校を認定していない旨を第161回国会の参議院法務委員会(平成16年11月25日)で大臣政務官が答弁しております。

今回限りであればそんなに目くじらを立てなくても良いのかもしれませんが、ヨミウリウェイには同じような広告を載せた前科があるのです。

こちらが2013年12月に載せられた東洋医学研究学院という整体師などのスクールの広告です。

201312東洋医学研究学院

「厚生労働省 文部科学省認可 東洋医学研究学院 山形校」
と表示してますね。

上の図で示したように認可を受けたのは協同組合であって、学校自体は厚生労働省の認可を受けておらず、全くの虚偽表示です

このときに厚生労働省が東洋医学研究学院を認可してない旨、ヨミウリウェイに伝えたら2014年の2月にはこんな広告になりました。

201402東洋医学研究学院

「厚生労働省認可 つぼ整体師教育振興協同組合指定 東洋医学研究学院 山形校」

協同組合として厚生労働省の認可を受けているのは事実ですが、これはラフィネの広告と同様、技術や安全性について厚生労働省が認可したかのような誤解を招きます。

で、抗議した結果が2014年3月の広告です。

201403東洋医学研究学院

うーん、そこまでして厚生労働省認可の文字を出したいか。
自校ではなく、加入している組合が認可されている(しかも技術や安全性についてではない。)ことを限られた紙面で書くのってなんですかね?

で、また抗議したのだと思います。4月の広告はこんなふうに。

201404東洋医学研究学院
「つぼ整体師・経絡リンパ療法師養成専門学校 東洋医学研究学院 山形校」
という表記になり、ようやく厚生労働省や文部科学省の文字は無くなりました。
 

資料

参議院 第161回国会 法務委員会 第9号 平成十六年十一月二十五日(木曜日)
国会のサイトです。

--(引用)--
○松村龍二君
(略)
 それから、次に、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師以外の医業類似行為者を養成する学校があるやに聞いております。
これらは法律に規定する資格者を養成する学校ではないので、民間資格を取得する学校と呼ぶことにいたします。

 一方、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師を養成する学校養成施設については、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律により文部科学大臣又は厚生労働大臣が認定することになっております。
これらの資格者には、三年以上、文部科学省令、厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校又は厚生労働大臣の指定した養成施設において必要な知識及び技能を修得し、国家試験に合格しなければ免許は与えられません。

 一方、民間資格者の学校は両大臣が認定するものではありませんので、これらの学校が例えば厚生労働大臣認定などと掲げ、不当に入学希望者を募るようなことがあってはなりません。
一般の心理として、厚生労働大臣認定などという表現を見れば、あたかも国家資格を取得できると誤認するおそれがあると思うのですが、このような一般の方があたかも国家資格を取得できると誤認するおそれがある広告を行っている民間学校について、厚生労働省としてどのように認識していますか、お伺いします。

大臣政務官(森岡正宏君)
(略)
 また、今御指摘の点でございますが、今おっしゃいましたように、あはき、また柔道整復に関しては、文部科学大臣の認定した学校又は厚生労働大臣の認定した養成施設を卒業して国家試験に合格した者に対して免許が与えられる。

一方、あはき、柔道整復以外の医業類似行為については、厚生労働大臣がこれらの学校を認定することはございません。
厚生労働大臣が認定を行ったとか、またそのように誤認されるおそれのあるような広告を行っておるとすれば適当じゃないわけでございまして、御指摘のような不適切な広告があるとすればそれぞれ個別事例に応じて厳正に対処していきたいと、今後とも引き続き指導していきたいと、そのように考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
--(引用終わり)--

中小企業等協同組合法


第二十四条  事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合又は企業組合を設立するには、その組合員(企業組合にあつては、特定組合員以外の組合員)になろうとする四人以上の者が、協同組合連合会を設立するには、その会員になろうとする二以上の組合が発起人となることを要する。

第二十七条の二  発起人は、創立総会終了後遅滞なく、定款並びに事業計画、役員の氏名及び住所その他必要な事項を記載した書面を、主務省令で定めるところにより、行政庁に提出して、設立の認可を受けなければならない。

第2,第3項省略。信用協同組合および協同組合連合会関連です。

4  行政庁は、前二項に規定する組合以外の組合の設立にあつては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第一項の認可をしなければならない。
一  設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が法令に違反するとき。
二  事業を行うために必要な経営的基礎を欠く等その目的を達成することが著しく困難であると認められるとき。

第5項以下省略


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カイロプラクティック通知の違法性その2ー問診を医行為とした最高裁判決との矛盾

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カイロプラクティック通知に関する、前回の記事からだいぶ経ちました。


ではカイロプラクティック通知の2番目の問題、カイロプラクティックに関する調査「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」において、禁忌症を判断するのに問診しているのを把握しているにも関わらず、医師法違反としなかったことについて。

厚生省の通知では


近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。

こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。


とし、その通知が「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」に基づくものであることが示されています。

そして「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」(俗に三浦レポートと言われる。)の内容は日本カイロプラクターズ協会のサイトに掲載されていますが、

オ)危険性

カイロプラクティックの禁忌は、腫瘍性、出血性、感染性疾患等とされているが、術者によっては、リウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等も禁忌に含めている。しかし徒手調整の手技によって症状を悪化し得る頻度の高い疾患、例えば椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などがあり、これらは禁忌の対象に含められるべきである。

禁忌の除外は、日本においては、各種医学的検査等の診断が術者自身では行えないので、問診が中心となる。多くの場合、他の医師の診断を受けているため、問題となることはないと主張している。また、施術の一般的危険性は医学的基礎がない人、またあってもカイロプラクティックの理論を学ばなければ危険であるとされている。


問診が医行為であり、無免許で問診を業として行えば医師法違反となる最高裁判決があるのは以前の記事で紹介したとおりです。

なので最高裁判決に従えば、医行為であるから無免許で行えば医師法違反である、と通知すべきであり、カイロプラクティックを医師法違反としなかったこの通知は無効とも言えます。

法律の優先順位は概ね、下記のようになります。

憲法>最高裁大法廷の違憲判決(司法権)>成文法(国会、立法権)>通常の判決(司法権)>行政通知、判断(行政権)

このブログを見てる方は一般の方よりも業界の方が多いと思われますが、行政判断が法にもとづいてないとして厚労省が負けた、業界内では有名な裁判があります。

柔道整復師の養成施設の認可を国が拒否したことに対して起こされた訴訟で、養成校としての基準を満たした申請を拒否する権限は法律で与えられていないとし、国が負けた裁判です。


最高裁の判例が変わった(司法権)、とか医師法第17条が変更された(立法権)、のでない限り、無免許業者の問診を認める行政通知は無効であります。

以前の記事にも書きましたが、半年前にこの矛盾を厚労省に質問し、前回の記事を書く前にも質問を再送したのですが、回答がまだ有りません。

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被災者を冒涜する、無免許業者によるロンダリングボランティア

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東日本大震災から5年です。

犠牲になられた方のご冥福と被災地の復興をお祈り申し上げます。

阪神大震災の1995年はボランティア元年と呼ばれました。
東日本大震災でも多数のボランティアの方々が被災地に集まりました。


話は変わりますが、最近、無免許マッサージ業者と思しき方と議論していました。
施術の違法性を尋ねた私に対し、
「自分たちの○○セラピスト協会は3.11の福島のボランティアにも行って、世間に認められいる」
と仰った。

えーと、指定暴力団山口組が阪神大震災の時に炊き出しをしていたことは有名かと思ったのですが。

違法性を判断するために施術目的・方法を尋ねているのに対し、免罪符として震災ボランティアを出すのって議論の仕方としても稚拙ですが、免罪符として利用している事自体、被災者への冒涜だと思うのです。

違法な資金を合法的な資金にするマネーロンダリングという言葉がありますが、ボランティアを違法行為の免罪符とすることをロンダリングボランティアとでも呼びましょうか。

こちらの記事によると山口組は東日本大震災でも炊き出しや救援物資を運んだそうですが、

"ヤクザからの救援物資を受け取るのは嫌だと思う方に配慮をして、徹底的にヤクザだと隠して救援物資を渡していた事実は報道されない。"
と、自らの身分は隠していたようです。
暴対法対策かもしれませんが。

まあ、食料も寝床も確保できない時ならどんな団体であれ、救援物質はありがたいと思います。
私も瀕死の状態で暴力団からの援助物資を拒否できるか、と言われたら受け取ると思います。

その援助物資の購入資金を考えると憂鬱になりますが、救援物資を受け取った事実を利用されることはありません。
少くとも山口組や組員が自己正当化のために震災での炊き出しを持ちだした、という話は聞いたことがありません。

さて、無免許マッサージ業者の協会はどうか。
活動報告に震災時のボランティア活動を載せていますね。

で、施術の違法性について問われたら
「自分たちは3.11の福島でボランティアをして世間に認められている!」

ボランティアを受け入れた被災地の方々も将来、違法行為の免罪符に利用されるとは思わなかったでしょう。

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カイロプラクティック通知の違法性その1

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カイロプラクティック療法に関する厚生省の通知として、平成3年6月28日に出された「医業類似行為に対する取り扱いについて」という通知があります。

これが法と判例に違反する通知であることを解説していきます。
先に結論を述べておけば

1.昭和35年の通知を引用する際、合理的な理由もなしに「少しでも」という文言を削除している。
2.カイロプラクティックに関する調査、「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」において、禁忌症を判断するのに問診しているのを把握しているにも関わらず、医師法違反としなかった。


上記通知を引用します(強調、下線などは筆者による)。
 

○医業類似行為に対する取扱いについて
(平成三年六月二八日)
(医事第五八号)
(各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)

近時、多様な形態の医業類似行為又はこれと紛らわしい行為が見られるが、これらの行為に対する取扱いについては左記のとおりとするので、御了知いただくとともに、関係方面に対する周知・指導方よろしくお願いする。



1 医業類似行為に対する取扱いについて

(1) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復について

医業類似行為のうち、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第十二条及び柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)第十五条により、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の免許を有する者でなければこれを行ってはならないものであるので、無免許で業としてこれらの行為を行ったものは、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十三条の五及び柔道整復師法第二十六条により処罰の対象になるものであること。

(2) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為について

あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二により同法公布の際引き続き三か月以上医業類似行為を業としていた者で、届出をした者でなければこれを行ってはならないものであること。したがって、これらの届出をしていない者については、昭和三十五年三月三十日付け医発第二四七号の一厚生省医務局長通知で示したとおり、当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。

2 いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて

近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。

こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。

(1) 禁忌対象疾患の認識

カイロプラクティック療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされているが、このほか徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではないこと。

(2) 一部の危険な手技の禁止

カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。

(3) 適切な医療受療の遅延防止

長期間あるいは頻回のカイロプラクティック療法による施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、滞在的に器質的疾患を有している可能性があるので、施術を中止して速やかに医療機関において精査を受けること。

(4) 誇大広告の規制

カイロプラクティック療法に関して行われている誇大広告、とりわけがんの治癒等医学的有効性をうたった広告については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二第二項において準用する第七条第一項又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十九条第一項に基づく規制の対象となるものであること。

別添 略

 


(2)で禁止処罰対象の施術に関し、「昭和三十五年三月三十日付け医発第二四七号の一厚生省医務局長通知で示したとおり」と書かれていますので当該通知から引用します。
 


2 判決は、前項の医業類似行為業について、禁止処罰の対象となるのは、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務に限局されると判示し、実際に禁止処罰を行なうには、単に業として人に施術を行なったという事実を認定するだけでなく、その施術が人の健康に害を及ぼす恐れがあることの認定が必要であるとしていること。
なお、当該医業類似行為の施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば、人の健康に害を及ぼす恐れがあるものとして禁止処罰の対象となるものと解されること。

 


2つの通知の文章を比較してみましょう。
上でも色分けしていますが平成3年通知は緑昭和35年通知は黄色で塗っています。


平成3年通知

"当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。"

昭和35年通知

"当該医業類似行為の施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば、人の健康に害を及ぼす恐れがあるものとして禁止処罰の対象となるものと解されること。"

昭和35年の判決文では禁止処罰の対象を「人の健康に害を及ぼすおそれのある」行為に限定しています。
なので
「医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがある」=「人の健康に害を及ぼす恐れがある」
と示して、「医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがある」行為が禁止処罰対象になることを示しているわけです。

だから平成3年通知では「、人の健康に害を及ぼす恐れがあるものとして」が省略されるのは理解できます。

では昭和35年通知の文章から省略して比較してみましょう。

昭和35年通知
"当該医業類似行為の施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものと解されること。"

平成3年通知
"当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。"

昭和35年の通知では「少しでも」という修飾語があったにも関わらず、平成3年通知ではなぜか削除されています。

このことに関して厚生労働省のホームページから質問を送ったのですが半年以上経っても回答がありません。
なので先日、質問を再送しましたが、まだ回答はありません。

以前の記事でも書きましたが、昭和34年の歯科医師法違反の裁判では無免許(歯科)医療に関しては「保健衛生上危害を生ずるのおそれ無き」を保てることを求めています。

昭和35年当時の厚生省官僚たちはこの歯科医師法違反の判決も考慮に入れて「少しでも」という文言を通知に入れたのだと思われます。

ではなぜ「少しでも」が削除されたか?

「医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となる」

と書いた後に禁忌症が書かれていたら矛盾を感じませんか?

禁忌症とかがある時点で「少しでも人体に危害を及ぼすおそれ」があると思いませんか?

そういう矛盾が生じないように「少しでも」という言葉を削除して引用したと思うのは馬鹿げているでしょうか?

今回はこの辺にして、続き(2の問診の問題)は次回にします。


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