第8回:差止請求レベル6 医業類似行為の定義の拡張

JUGEMテーマ:整体

 

 

第1回:不正競争防止法の概要
第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)
第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)
第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)
第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)
第6回:差止請求

第7回:損害賠償請求

 

 

世の中、計画通りにはいきません。
今回の内容、本来なら第7回で書くべきなんでしょうけど、思いついたのが第7回を書いた後でしたので。

 

あはき法第12条で禁止処罰される医業類似行為の定義は

 

疾病の治療又は保健の目的でする行為であって医師・歯科医師・あん摩師・はり師・きゅう師又は柔道整復師等の法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないものをいう

 

とHS式無熱高周波療法の第1次控訴審(仙台高裁昭和28年(う)375)にて判示されております。

 

「疾病の治療又は保健」と目的が限定されているわけです。

 

法律本来の運用、すなわち医業類似行為を行っただけで禁止処罰の対象とする場合、どのような目的をもった行為かが不明確では罪刑法定主義に反するでしょう。

 

さて、現在、医行為の定義
「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」
となっております。

 

しかし以前、例えば昭和28年05月21日大阪高裁判決では

 

医行為とは人の疾病の治療を目的とし医学の専門知識を基礎とする経験と技能とを用いて、診断、薬剤の処方又は外科的手術を行うことを内容とするものを指称し、等しく人の疾病の治療を目的とするもの

 

と判示され、以前は医行為も疾病の治療を目的とする、とされていたのでした。

 

ただ疾病の治療目的を必要条件にした場合、病気の治療を目的としない、美容外科は医行為じゃない、という話になってしまいます。

そのため現在の医行為は目的を限定せず、危険性のみに着目して、

 

「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」

 

となっております。

 

さて、消費者庁が措置命令を出したニュースが記憶に新しい小顔矯正の整体ですが、美容目的となり、仮に判例が変更されても「疾病の治療や保険の目的ではない」と言い張って業務を継続することが考えられます。

 

そういう言い訳を許す場合、判例変更を行っても無駄になってしまいます。

 

そこで美容などの目的も医業類似行為の定義に加えるべきです。
医行為も定義が拡張されたのですから。

 

ちなみにHS式無熱高周波療法の第二次最高裁判決では

 

前記法律一二条は「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」と規定し、同法一条に掲げるものとは、あん摩(マツサージおよび指圧を含む)、はり、きゆうおよび柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が同法一二条の医業類似行為であるかを定める場合の基準となるものというべく、結局医業類似行為の例示と見ることができないわけではない。

 

と判示しており、あはき柔の施術目的として美容などがあれば医業類似行為の目的にもなるわけです。

そして美容を目的として施術している鍼灸マッサージ師もおります。


また薬機法(旧薬事法)は医薬品や医療機器の定義として下記の目的が書かれています。

 

  • 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されること
  • 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすこと

 

従来の医業類似行為の定義の場合、前者は含まれますが、後者が含まれるかは微妙なところです。
小顔矯正であれば後者の定義に当てはまるでしょう。

 

なので医業類似行為の定義を

 

「人の疾病の治療若しくは予防(保健)又は人の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことを目的とする行為であって、医師・歯科医師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師又は柔道整復師等の法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないもの」

 

と拡張すべきと考えます。

 

これなら美容目的だから、という言い訳で無免許施術を許さずに済みます。

 

目的の変遷

 

 

 

なお、美容目的、というかエステティックサービスによる危害報告ですが、消費生活センター等に報告される危害情報の上位5位以内には毎年入っています。

 

2015年度のPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)にみる危害・危険情報の概要

 

 

2ページめを見ると「危害情報」の概要として

商品等分類別にみると、1位は「保健・福祉サービス」(「医療サービス」、「エステティックサ ービス」、「美容院」、「歯科治療」など) 2,804 件(26.4%)、2 位は「食料品」(「健康食品」、「調理食品」、「飲料」、「菓子類」など) 2,259 件(21.2%)、3 位は「保健衛生品」(「化粧品」、「医薬 品類」、「家庭用電気治療器具」など) 1,791 件(16.8%)、4 位は「住居品」(「家具類」、「洗濯用 洗浄剤」、「ふとん類」など) 932 件(8.8%)、5 位は「他のサービス」(「外食」など) 602 件(5.7%) でした。(表 1)

 具体的に商品・役務別にみると、1 位は「化粧品」1,036 件(9.7%)で、前年度(1 位、1,227 件)と同じ順位でしたが、自主回収している薬用化粧品の白斑トラブルに関するものが減少したことなどにより、191 件減少しました。2 位は「医療サービス」904 件(8.5%)で、顔のリフトア ップなどの「美容医療」に関するものが 214 件減少したことなどにより 301 件減少しました。 3 位は、「健康食品」898 件(8.4%)で、前年度(4 位、583 件)から 315 件増加し、順位も上がりました。4位は「エステティックサービス」521 件(4.9%)、5 位は「外食」501 件(4.7%) でした。(表 2)

とあり、表2がこのようになっています。

エステの危害情報

 

エステティックサービスが保健・福祉サービスの中に入っているのも意外ですが、人体に関する知識を要求される点では当然かもしれません。

だから無免許のものが行うのを禁止すべきとも言えます。

 

事故情報データバンクで保健・福祉サービスに限定してエステの事故情報を調べたのですが、多すぎです。

そのうち、神経・脊髄の損傷を検索して出てきた事故情報の一部にリンクを貼り付けます。

 

小顔矯正

痩身エステ, 理美容用具その他

タイ式マッサージ, マッサージ・指圧(エステサロンで受けたタイ式マッサージだそうです。)

ネックマッサージ(これもエステサロンでの施術)

痩身エステ, 理美容用具その他, マッサージ・指圧

エステサービス

痩身エステ, 保健衛生品その他

小顔矯正, 美顔エステ(接骨院での無資格者による施術)

痩身エステ, 低周波治療器

エステでぎっくり腰, マッサージ・指圧

痩身エステ, 理美容用具その他

保健・福祉サービス - 理美容

マッサージ(エステ店)

 

これだけ危害情報があるなら明らかに「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」でしょ。


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