無免許業者に許される行為は機械的に行っても安全性が確保される行為に限定される。

JUGEMテーマ:整体

 

 

以前の記事で無資格者に診療の補助をさせたとして、保健師助産師看護師法違反で有罪になった裁判(富士見産婦人科病院事件)を取り上げました。

 

その裁判で、医師が無資格者に行わせる事ができる行為として

 

"医師が無資格者を助手として使える診療の範囲は、おのずから狭く限定されざるをえず、いわば医師の手足としてその監督監視の下に、医師の目が現実に届く限度の場所で、患者に危害の及ぶことがなく、かつ、判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業を行わせる程度にとどめられるべきものと解される。 "

 

と判示しております。

 

検査診断行為については以前の記事で書いたように、無資格者が単独で行えば医師法違反が成立します。

 

では施術はどうでしょうか。

 

この保健師助産師看護師法違反事件において無資格のBが行った、手術における筋膜の縫合糸の結紮行為が参考になります。

 

Bの行為に関し、東京高裁は

 

" そうすると、本件各筋膜の縫合糸の結紮としてBがしていたことは、比較的単純な作業であるといえないでもないが、患者の腹部の手術創に直接手を触れたうえ、細密な縫合状況についての視認結果と指先の感触に基づき、自らの判断を加えながら、縫合糸を結ぶことによって創口を閉鎖することであり、それ自体として患者の身体や健康状態に重大な危害を及ぼすおそれがあるのはもとより、微妙な判断作用を伴う機械的とは到底いえないものであって、医師による監督監視の適否を論ずるまでもなく、無資格者が医師の助手として行うことができる行為の範囲をはるかに超えているといわなければならない。"

 

と判示しております。

 

視認結果と指先の感触から、自分で力加減や締め具合を調整する必要があったのでしょう。

 

こちらの記事の解説によりますと

 

 

"1.縫合時の結紮

 

糸で縫い合わせた時に結紮する。きつく締め過ぎると、組織の血流を阻害し生着(創傷治癒によって組織同士がつながること)が悪くなり、ひどい場合には壊死を起こす

(略)

締め方が緩すぎると、組織同士が離れてしまい創がつながらないことがある。

テンションがかかる離れた組織同士を寄せる場合は、相手側の組織を糸の力で引こうとすると組織が裂けてしまう事があるので、手前の組織を相手側の組織に押しつけるように距離を縮めると良い。"

 

というわけで微妙な締め具合の調整が必要であり、機械的に行っては健康を害する恐れがありそうです。

 

そんなわけで東京高裁は医師が無資格者に手伝わせられる行為に関し、

「患者に危害の及ぶことがなく、かつ、判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業」

に限定しているわけです。

 

これは医師が指示・監督している状況ですらそうなのですから、医師の指示・監督が無い場合にも適用されます。

 


 

さて、マッサージに関する厚労省の通知としては平成15年11月18日 医政医発第1118001号というのがあり、

 

"施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行うなど、あん摩マッサージ指圧師が行わなければ、人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為については、同条のあん摩マッサージ指圧に該当するので、無資格者がこれを業として行っている場合には、厳正な対応を行うようお願いする。"

 

という内容です。

厚労省の通知検索ではURLで指定する文書そのものが変更されますので、内閣府のPDFへのリンクを張ります。

ページ下の表示では102頁です(PDFは99頁目から始まります)。

 

この「施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行う(1)」

があん摩マッサージ指圧の法的な定義だと勘違いされている記事をよく見かけるのですが、この通達では

"あん摩マッサージ指圧師が行わなければ、人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為(2)"

があん摩マッサージ指圧に該当するとしているわけです。

 

(1)(2)の例示に過ぎません。

 

体重をかけて揉んだり、押したりする行為というと利用者さんをうつ伏せにして、背中や足を揉んだり、押したりが想像できます。

 

背中を押す場合、人によってはもっと強く押して欲しい、と希望されることがあります。

しかし無闇矢鱈に体重をかけたり、強く押しては肋骨などを骨折させる危険もあり、力加減を施術者自身が判断せねばなりません

 

実際、事故情報データバンクで「肋骨 骨折」で検索すれば背中の施術で骨折したケースが出てきます。

http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/

 

(1)は施術者が利用者の体格や触れた感覚にもとづき、力加減などを調整しなければ健康被害を生じる可能性のある行為と言えます。

 

このように、安全性の確保のために施術者の判断能力が求められる行為が無資格者には許されないことは上述の富士見産婦人科病院事件の裁判で示されたとおりです。

 

無資格者が利用者さんの既往歴や症状を聞けば問診になり、医師法違反になります(当院ブログ記事参照)。

 

 

なのでどのような病気、例えば骨粗鬆症になっている方に対しても問題ない力加減で施術することが求められます。

 

「もっと強くしてくれ」という希望に応じること自体、無資格者がやってはいけません。

 

そんなわけで、無免許で許される行為は機械的に行っても安全性が確保される行為に限定されるわけです。


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