無免許業者は施術料金の返還を求められたら返還しなくてはいけない

JUGEMテーマ:整体

前回の記事では健康被害がなくても、症状が改善しないために施術料金の返還を求められたケースを紹介しました。

 

そんなわけで無免許施術の場合、消費者契約法では料金返還の判決を得るのは難しいので、

違法施術であり、民法90条違反(公序良俗違反)として料金返還を求める方法があります。

 

そしてそのような判例は私が調べた限りではありません

 

さて、なぜ判例が無いのでしょう?

 

もし違法施術という判決が出されたらどうなると思いますか?

その無免許業者に対し、最初の判決を参考にしてテンプレートのように料金返還訴訟を起こすことが可能になります。

まさに過払い金返還のように。

 

なので違法施術を認識して行い、料金の返金訴訟を起こされた場合、判決を回避する必要があります。

 

そのために使う手段が認諾(にんだく)と和解です。

認諾は原告の請求を認めることです。

和解はお互いの主張を譲り合って締結するものです。

 

認諾も和解も裁判所の判断が示されることはありません。

 

少し当業界から離れますが、判決回避の認諾や和解は下記の過払い金のニュースや弁護士の記事が参考になるかと思います。

 


プロミス、子会社への過払い金返還請求受け入れ 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120330-OYT1T01213.htm

(強調は筆者による)

 

プロミス、子会社への過払い金返還請求受け入れ

 

過払い金返還請求プロミス受け入れ 消費者金融大手のプロミスの子会社から借り入れをしていた男性らがプロミスに過払い金の返還を求めた訴訟の上告審弁論が30日、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)であった。

 

 書面審理が中心の最高裁が弁論を開いたことで、原告敗訴の1、2審判決が見直される可能性が出ていたが、同社側は請求を受け入れる「認諾」を表明し、判決に至らず訴訟は終了した。

 

 訴訟では、子会社の廃業後、親会社に過払い金の返還を請求できるかどうかが争点だった。原告側代理人によると、最高裁が弁論期日を指定した後の2月、同社側は請求額の2倍を支払うとした和解案を提示し、和解を拒否されると、請求認諾の書面を提出したという。この日の弁論で原告側は「意に沿わない判例を回避するための認諾を許せば、他の債権者が救済されない」と訴えたが、同小法廷は認諾の効力を認めた。

 

 プロミス広報部の話「粛々と適切に訴訟手続きをしており、不利な判決を逃れるためだと言われるのは心外だ」

 

(2012年3月30日23時50分 読売新聞)

 


そしてこの裁判の原告代理人の弁護士の記事です。

プロミスの場合(過払い金請求の話) | 庶民の弁護士 伊東良徳

 

 

長いのでとりあえずページ内を「認諾」で検索し、最初にヒットしたところから読んで下さい。

 

"プロミスは敗訴判決を避けるためになりふり構わず卑劣な策略に出たのです。"

 

死刑判決に対する上告以外で最高裁で口頭弁論が開かれる、ということは高裁判決を見直すことを意味します。

なので1,2審判決が破棄される見通しがあったわけです。

 

最高裁で逆転判決となれば他の顧客からの請求も定型化されてしまいますので、最高裁判決を回避するために請求額の2倍の和解金を支払う、と原告に対して提案したわけです。

 

まさに

 

"債権譲渡事案では、最高裁が口頭弁論期日を指定したらその事案だけ高額の和解金を積んで闇に葬り和解を拒否されたら認諾してプロミスにとっては痛くもかゆくもない金額を支払うことでそれ以外の巨額の過払い金の支払を拒否し続けようとすることが明らかです。"

 

ということです。

 

伊東弁護士の記事の最後に書いておりますが、別の裁判で最高裁はプロミスに有利な決定(原告の上告棄却)をしました。

認諾によって稼いだ時間で論理を構築していたのだとしたら2倍の和解金でも安いものだったでしょう。

 

 


さて、もう一つ和解に関する事件を紹介します。

山口県で起きた、ホメオパシーを行っている助産師がビタミンKシロップの投与を行わなかったために乳児が死亡した事故の民事訴訟です。

朝日新聞によれば約5600万円の請求に対し、数千万円での和解だそうです。

 

で、下記の記事によると和解条項には口外不可な条件があるらしく、それをいいことにホメオパシー団体は言いたい放題だそうです。

 

山口ホメオパシー訴訟は和解で終結。しかし、ホメオパシー団体は"言いたい放題"

 

認諾は原告の請求を認め、口外不可なんという条件は付けられません。

しかし和解ならこのように口外不可の条件をつけ、自分たちには責任がなかった、と裁判所の外では主張できます。

 

 


 

なお、プロミスが認諾という手段を使ったのは高裁までは勝てていて、最高裁では負けそうだ、という判断からです。

最初、つまり地裁で認諾をしてしまえば自分が違法施術をしたと認めることであり、その情報を他の利用者に知られたたら同じように返還請求をされます。

 

認諾という手段は地裁で勝ててこそ使える手段です

 

なので地裁ですら自分が行っている無免許施術を合法と認めさせることができないなら和解を目指さねばなりません。

 

問診や身体所見の告知を行っていたり、安全性の確保に習熟が必要な旨を言っていたらまず裁判で勝てないでしょう。

 

なので請求金額だけを払うだけで和解できるか?という問題があります。

請求金額だけを払うなら認諾でも構わないのです。

でも施術者側としては上記の理由で認諾はできないわけです。

 

裁判を起こすまで利用者(原告)との関係がこじれているわけです。

単に施術料金の返還を求めるレベルであれば和解に応じてくれるかもしれませんが、対応への憤りから社会的制裁が必要と考えているかもしれません。

 

PCデポの問題で、被害者側が「もはや金額の問題ではない」と述べているように。

 

PCデポの問題に関して言えば、認知症の父親と契約したことを理由にして、最初に全額返金すればよかったのです。

そうすれば契約内容そのものに関する議論は起きずに済んだでしょう。

 

 

このように高まった怒りを沈めさせるだけの上積みが和解には必要なわけです

 

もちろん、被害者側にも裁判の負担や見通しの不明確さなどがあります。

しかしそれを利用して、請求金額よりも低い額での和解案を提示したら火に油を注ぐことになりかねません。

 

なので口外不可の条件をつけて和解するなら、請求金額+弁護士費用ぐらいの和解金は必要でしょう。

無免許医業をしていて、料金返還の訴訟をされたら施術料金以上の出費が必要なわけです。

 

そんなわけで違法性を指摘されて料金の返還を求められた場合、口外不可の条項をつけて全額返金で示談すべきです。

この時点なら症状を改善できなかったお詫び、という名目でも構わないのです。

返金してもらえば怒りは収まるでしょうから。

 

もっとも返金要求して拒否されたからといって、実際に弁護士に依頼したり、裁判を起こす人の分かり合いは少ないでしょう。

なので訴訟を起こされたらプロミスが行おうとしたように、高額の和解金を支払えば良いだけかもしれません。

 

このように「和解」で済ませていれば、違法施術という理由での返金請求に関する判例が存在しないのも納得できるわけです。

 

実際に返金訴訟を起こす人の割合は小さいですから、違法行為を気にせずに商売として考えた場合、必要経費と割り切ることも可能です。

 

コンプライアンスや倫理なんかはどうでもいい、金儲けこそが正義だ、と思っている方を説得しようとは思いません。

ただ、この業界に入ろうと思っている普通の方々にはこのように「経費」と割り切ることができるか、考えていただきたいのです。

 

まあ、ネットやSNSが無い時代であれば「認諾」でもよかったのかもしれません。

また私のように無免許施術に関する判例を収集・公開する人もおらず、そのような裁判が無かったのかもしれません。

 

もちろん、自分たちが行っている施術は合法だ、というのであれば和解など提案せずに、判決を貰えばいいのです。

 

我々国家資格者としては違法である旨の判決が欲しいので、無免許業者の皆様には和解されるよりも判決まで戦っていただいた方がありがたいです。


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