職業選択の自由と規制の合憲判断の段階理論

JUGEMテーマ:整体
この記事の著者は鍼灸マッサージ師であり、なんら法律に関わる専門資格を所有してないため、一部不正確なところがあるとは思いますが、ご容赦ください。

詳しい内容を把握したい方は大島義則著、法律文化社「憲法の地図ー条文と判例から学ぶ」101頁以降、および有斐閣別冊ジュリスト217号憲法判例百選機梁6版]205頁、212頁などを御覧ください。

前回の記事では薬事法で薬局の距離制限が違憲判断された裁判のことを書きました。

この裁判、および職業選択の自由に関する規制の合憲違憲の解説として目的二分論というのがよくされます。

健康被害などの危害を防止するためなどの警察目的(消極目的)で職業選択の自由を制限する法律の合憲判断には厳しい基準を適用し、経済的弱者などを救うため(積極目的)に職業選択の自由を制限する場合は不合理であることが明白な法律のみ違憲にする、という考えです。
詳しくはwikipediaの記事をご参照ください。


しかしその後の最高裁判決は目的二分論では説明がつかないのが多くなります。
特に平成12年に出された司法書士法違反事件の最高裁判決は登記手続き代行業務を司法書士のみに認めた司法書士法に関して合憲と判断したのですが、消極目的規制であるのに合憲性の説明は「あまりにも簡略な説示」でした。

そこで有力になってきたのがドイツの薬局判決で採用された段階理論です。

職業選択に対する規制を

(1)職業活動に対する規制(事後規制)
(2)主観的要件に対する規制(本人の努力次第でなんとかなるもの)
(3)客観的要件に対する規制(本人の努力ではどうしようもないもの)

の3つに分け、合憲審査基準の厳しさが3>2>1となります。

(1)は職業を選択、あるいは認可された後の活動などに対する規制で、事後規制です。

あはき法で言えば骨折・脱臼部位に対する施術の際の医師の同意を得ることの義務、あるいは鍼灸を行うときに消毒をする義務、守秘義務などです。広告規制がこの職業活動に対する規制か、表現の自由に対する規制なのかは意見が別れるところです。

(2)は本人の意思・努力・能力次第でなんとかなる要素に対する規制です。

受験制限のない免許制度はこの最たるものです。
鍼灸マッサージ師の免許は指定された養成校を卒業しないと受験資格を得られませんが、養成校自体の入学は一般に開放されており、生まれや性別、人種などで受験者を差別しておりません。

またあはき法第12条で禁止されている医業類似行為は医師免許を取れば医業として自由に行なえます。
そのためあはき法第12条の規制も(2)に該当します。

(3)は本人の努力ではどうしようも無いことです。

薬事法違憲判決では既存薬局の場所は自分ではどうしようもない、というわけです。

あはき法上はこれに該当する規制は無いはずです。
あはき法第19条はどうなのか?って気はしますが、自分の意志で盲人になることも不可能ではないですし。
この規定に当てはまるのは医療関係では助産師(女子のみに限定される)ぐらいですかね?
性転換も法律上は可能なようですが。

ドイツ薬局判決は日本の薬事法違憲判決にも大きな影響を与えたとされており、司法書士法違反事件の最高裁調査官解説も、消極目的規制ではあるが、資格制度による規制であることから合憲性審査基準を緩和しているそうです(大島前掲105頁)。

司法書士法違反事件では以前の記事で解説した歯科医師法違反事件も引用されています。


歯科技工士が義歯制作に伴い行う可能性がある歯科医行為は限定されていますが(だから歯科技工士法第20条で列挙、禁止されているとも)、医業類似行為はそのように、事前に限定することができないことは以前に書いたとおりです。

そのために禁止処罰対象を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」に限定したのも理解できない話ではありませんが、その結果、被害者が出るまで取締がなされず、健康被害が生じているのは国民生活センターが報告したとおりです。

無害な可能性がある行為を禁止処罰対象にしなかったために無免許の医業類似行為が放置され、健康被害が発生する、というのは「単なる観念上の想定」ではなく「事実」なのです。

そのため無害の可能性があっても無免許の医業類似行為を行っただけで禁止処罰するのは危険な施術行為による健康被害を防ぐための「確実な根拠に基づく合理的な判断」であります。

そのため、現在、裁判所にあはき法第12条を判断させれば昭和35年の判例変更も可能だと思われます。

もし、無免許業者を違法行為と指摘したり、保健所・警察などに告発したりして、無免許業者から
「名誉毀損や業務妨害、虚偽告訴だ。削除や賠償に応じなければ法的手段を取る。」
とか言ってきたらむしろ判例変更のチャンスなのです。

無免許業者の脅しに屈してはなりません。


工藤はりきゅうマッサージ治療院

お問い合わせは施術時間にかかわらず
info★kudo-massage.com (★を@に変えてください)
あるいは
TEL: 023-641-0124
まで。
評価:
大島 義則
法律文化社
¥ 2,160
(2016-04-27)
コメント:憲法22条に関する判例を概観するのに役立ちます。

評価:
---
有斐閣
¥ 2,263
(2013-11-13)
コメント:図書館から2度借りたのに結局購入。


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