役所が違法性を指摘しなかったら合法なのか?

JUGEMテーマ:整体

 

よく整体師などの無免許業者が、警察や保健所から違法性を指摘されなかった、として、自らの施術業務を合法である旨、主張するケースがあります。

では行政が違法性を指摘しないことは本当に合法である根拠となるのでしょうか?

 

1.百円札模造事件


最高裁判決はこちら
 

判決要旨より

 

甲、乙がそれぞれ百円紙幣に紛らわしい外観を有する飲食店のサービス券を作成した行為につき、甲において、事前に警察署を訪れて警察官に相談した際、通貨模造についての罰則の存在を知らされるとともに、紙幣と紛らわしい外観を有するサービス券とならないよう具体的な助言を受けたのに、右助言を重大視せず、処罰されることはないと楽観してサービス券Aを作成し、次いで、作成したサービス券Aを警察署に持参したのに対し、警察官から格別の注意も警告も受けず、かえつて警察官が同僚らに右サービス券を配布してくれたのでますます安心して更にほぼ同様のサービス券Bを作成し、また、乙において、甲からサービス券Aは百円札に似ているが警察では問題がないと言つていると聞かされるなどしたため、格別の不安を感ずることもなく類似のサービス券Cの作成に及んだことが認められる本件事実関係(判文参照)の下においては、甲、乙が右各行為の違法性の意識を欠いていたとしても、それにつき相当の理由があるとはいえない。

 

詳しくは判決本文を読んでいただきたいのですが、甲(判決文では被告人D)は以下のサービス券を作成したことが、それぞれ百円紙幣に紛らわしい外観を有するものを作成したとされています。

 

  •  表面は、日本銀行発行の百円紙幣と同寸大、同図案かつほぼ同色のデザインとしたうえ、上下二か所に小さく「サ ービス券」と赤い文字で記載し、裏面は広告を記載したサービス券1
  • 表面は、サービス券1と同じデザインとしたうえ、 上下二か所にある紙幣番号を「F(甲が経営する飲食店)」の電話番号に、中央上部にある「日本銀行券」 の表示を「F券」の表示に変え、裏面は広告を記載したサービス券2

 

 

甲はサービス券1を作成する前に警察に相談していますが、楽観視してサービス券1を作成し、銀行に頼んで、銀行名が入った帯封をかけてもらいました。

そして帯封をかけたサービス券一束約100枚を警察署に持参し、 助言を受けた防犯係長らに差し出したところ、格別の注意も警告も受けず、かえって前記巡査が珍しいものがあるとして同室者らにサービス券を配付してくれたりしたので、ますます安心し、更に、サービス券の印刷を依頼してこれを作成しました

 

どういういきさつで立件されたのかはわかりませんが、甲は警察にサービス券を持ち込んで、そこで違法性を指摘されなかったにも関わらず、通貨及証券模造取締法違反で有罪となっているわけです。

 

甲の話だけを聞いて、同じようなサービス券を作成した乙も有罪です。

 

2.けん銃部品輸入事件(大阪高裁平成20(う)528、判タNo.1300,302頁)

 

観賞用として米国から拳銃のフレームを輸入する際、拳銃としての機能(殺傷能力)を失わせるのに必要な加工や、法的問題を事前に警察に確認したにも関わらず、輸入したフレームが拳銃部品と認定された事件です。

 

被告人は

 

  •  大阪府警察本部生活安全課の警察官に、 けん銃加工品を無可動銃として合法的に日本に輸入するための方法を相談しに行き、 けん銃の各部品をどのように加工すればよいかなどを口頭で教えられて、 それを書き写したこと
  • 担当警察官が被告人に教示した加工方法は、 平成9年12月に、 警視庁生活安全局銃器対策課長、 警察庁刑事局鑑識課長の連名で、 各管区の警察局保安部長等に対して発出された、 「無可動銃の認定基準について」 と題する書類に示された内容とほぼ同一であり、 機関部体に関連する措置に関する限り、 差異のないものであったこと
  • 被告人は、 上記警察官から、 輸入の際に引き金と撃鉄との連動を外しても、 後で連動する部品を入れると模擬銃器 (銃刀法22条の3) になる可能性があることなどを指摘されたため、 警視庁の銃器対策課に電話をし、 その担当警察官に、 模擬銃器に当たる場合、 アメリカから直接顧客に送る方法なら罪に問われないのかどうかを尋ね、 後刻また電話をして、 その方法であれば罰せられない旨の回答を得たこと
  • さらに、 被告人は、 関西国際空港の税関に出向いて、 税関と警察の係官に対し、 予定していた加工の方法を説明し、 また、 これとは別に、 大阪府警察の銃器対策課にも電話をして、 引き金と撃鉄を連動させる部品の輸入が違法かどうかを問合せ、 違法でないことを確認したこと 
  • この間、 被告人は、 警察での指導内容を参考に、 それよりも復旧が難しい加工を行うこととし、 アメリカにおいて、 連邦の資格を有する銃器工であるガンスミスの協力を得て加工方法を検討した。

 

 

と警察などにアドバイスを求めて、それにしたがっていたわけです。

 

実際、輸入したフレームに関し、税関で他の問題を指摘されてもけん銃部品に該当するような指摘は受けておりません。

 

しかし被告人は本物の銃や実弾を所持していたため、摘発されました。
それでけん銃部品の輸入の罪にも問われ、一審ではその部分も有罪となり、罪が重くなったわけです(懲役10年及び罰金200万円)。

 

控訴審ではこのような事情から、被告人は輸入したフレームがけん銃部品に該当するとは認識できなかったし、違法性を認識できなかったことに相当性の理由がある、として、けん銃部品の輸入に関しては無罪になり、刑が軽くなりました(懲役7年)。

 

当業界にとって大事なのは、役所に合法に輸入できるように確認し、そのアドバイスに従ったにも関わらず、けん銃部品輸入の違法行為と裁判所が認定したことです。

 

3.法令適用事前確認手続やグレーゾーン解消制度

 

そんなわけで整体師などの無免許業者の皆さん、1の乙氏のように、他人(資格商法業者など)から、法的に問題がないような説明を受けているかもしれませんが、それでは違法性の認識がなかったことに相当の理由がある、とはみなされません。

そこで厚労省の法令適用事前確認手続や経済産業省のグレーゾーン解消制度をご利用してみてはいかがでしょうか?

 

厚生労働省:法令適用事前確認手続
 

経済産業省:グレーゾーン解消制度の活用実績

 

ただし、違法と判断される可能性のある両刃の剣です。

 

例えば厚労省の法令適用事前確認手続では、美容師法に関し

 

テーマパーク内において、その来場者を対象に、本人がもっぱら「楽しみ又は変装」の目的で行うとしているが、美容師法(昭和32年法律第163号)第2条第1項にいう「化粧等の方法により、容姿を美しくする」行為は、他人に見せるという目的も含んでいるところ、本件行為は成分的に化粧品と変わらぬものでよそおい、他人に見せて楽しむものであり、客観的に「化粧等の方法により、容姿を美しくする」との区別はできない。


 技術面においても、パーティーメイク等様々なメイクを既に美容業として行っており、本件行為をこれと明確に区別することは困難である。

 

 また、業の形態もテーマパーク内とはいえ、そのよそおう行為自体を反復継続して行うものであるため、当該行為の目的及び形態から、美容師法第6条にいう「美容を業」とするとの範囲に含まれると解する。
 以上の理由により、照会のあった行為については、照会の対象となった法令の条項の適用の対象となると回答する。 

 

回答され、業として、変装のために顔に絵を描く行為は美容師免許が必要な行為と認定されたわけです。

 

4.資格商法業者が、厚労省の回答を誤解していた例

 

山形県内に、あん摩マッサージ指圧師の免許を保有していないにも関わらず、「マッサージ」と表記している業者に注意のメールを送ったところ、その店が加入してる団体の理事長から電話があり、内容は

 

「マッサージ」という表示は、国家資格者によるマッサージであると誤解をさせなければ表示しても良い、と厚労省から回答を得ている。 

とのことでした。

 

そのため、厚労省に確認したところ

 

あん摩マッサージ指圧師によるあん摩、マッサージ又は指圧が行われていない施設において「マッサージ」等と広告することについては、同施設においてあん摩マッサージ指圧が行われていると一般の方が誤認するおそれがあるので、広告しないようお願いします。

という回答内容であり、東京都福祉保健局のウェブサイトにもその旨の記述があります。

 

医師又はあん摩マッサージ指圧師による施術が行われていない施設において「あん摩」、「マッサージ」、「指圧」等と広告することは、医師又はあん摩マッサージ指圧師でなければ行うことができない「あん摩マッサージ指圧」が行われていると誤認されるおそれがあります。
 つきましては、医師又はあん摩マッサージ指圧師による施術が行われていない施設におかれては、このような広告を行わないよう、御注意ください。

 

このように、資格商法業者は行政の回答を、自分の都合の良いように解釈し、広めることがあるので注意しましょう。


 


無免許マッサージに関する判決・通達

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無免許マッサージ(あん摩、指圧を含む。あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下、あはき法)第1条違反)の取締がされてない理由に
「マッサージが法律上定義されていない」
と言われることがあります。

しかし実際には無免許マッサージに関し、有罪とした正式裁判もあります。
また厚生省の通達でも定義を行っております。

医業類似行為(あはき法第12条違反)と混同され、「人の健康に害を及ぼすおそれ」が無いと違法性に問えないと勘違いしている方々も多いのです。

その勘違いは本来、無免許マッサージを取り締まる警察官や被害相談を受ける消費生活相談員も例外ではありません。
無免許マッサージ(あん摩、指圧も含む)の被害を警察や消費生活センターに相談される際にはこのページを印刷してご持参ください。

資料は時系列で並べております。
  1. 清水簡易裁判所/判決/昭和34年(ろ)50号 昭和34年10月7日
  2. HS式無熱高周波療法最高裁判決 最高裁判所大法廷 昭和29(あ)2990 昭和35年1月27日
  3. いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について(医発第二四七号の一各都道府県知事あて厚生省医務局長通知) (昭和三五年三月三〇日)
  4. 東京高裁昭和34年(う)2187号、昭和35年4月13日
  5. あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて(医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知) (昭和三八年一月九日)
1,3,4,5があはき法第1条(無免許マッサージ)、2があはき法第12条(医業類似行為)の資料になります。
1,2,4は裁判所の判決、3,5が厚生省の通達になります。
 
3,5は厚労省のサイトにもあります。同じURLでも別の通知が表示されることが有るので通知検索の「第2編 医政」→「第1章 医政」→「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」でお探しください。
 
2は裁判所のサイトに判決文があります。
このページでは表示しません。
 
1,4も裁判所の判決ですが、裁判所のサイトには載っておりません。
D1-Lawという商用の判例データベースに掲載されており、山形県立図書館にて利用することが可能です。
判決文そのものに著作権保護はないので掲載します。
 
1.清水簡易裁判所/判決/昭和34年(ろ)50号 昭和34年10月7日

判決日:昭和34年10月7日
裁判所:清水簡易裁判所/判決/昭和34年(ろ)50号
下級裁判所刑事裁判例集1巻10号2144頁

要旨
1.あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法一条にいう「あん摩」とは、慰安または医療補助の目的をもって、身体を摩さつし、押し、もみ、またはたたく等の行為を言う。
2.あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法一条は、営業により利益を得ること自体を禁止しようとする主旨ではなく、「業として」とあるのは、反復継続の意思をもって、施術を行うことをもって足り、現実に報酬を受け、またはこれを目的とするか否かは、問わないものである。
3.あん摩を業とするためには、反復継続の意思をもって施術を行うことをもって足り、現実に報酬を受け、またはこれを目的とすることを要しない。

一、主文
被告人を罰金二千円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二百円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は全部、被告人の負担とする。

一、罪となる事実
被告人は、医師でなく、かつ、あん摩師免許を受けないのに、別表記載のとおり、昭和32年9月中旬頃から昭和34年3月下旬までの間、前後5回にわたり、静岡県xxxの自宅において、Aほか4名に対し、全身の揉治療をなし、もつて、あん摩を業としたものである。

一、証拠の目標(略)

一、被告人の主張に対する判断
被告人は、
(一)被告人の本件各所為は、いずれも、「つまつた血管を自然にやわらかくしていくもので、つまり、押えながらすじを伝わつてもんでいく」のであるから、あん摩ではない、
また、
(二)施療者各人から1回100円ずつもらつているが、これらは、いずれも治療代として受け取ったものではなく、謝礼として受領したものであるから、被告人の各所為は、いわゆる「業として」なしたものではない旨主張するので、以下順次判断する。
 
第一、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法(以下単に法と略称する。)の第一条にいう「あん摩」とは、慰安または医療補助の目的をもって、身体を摩さつし、押し、もみ、またはたたく等の行為と解すべきところ、前掲各証拠によると被告人の本件各所為は、いずれも右あん摩に該当するものであること明らかであるから、この点に関する被告人の主張は採用できない。
 
第二、つぎに、法第一条によると、あん摩師を「業とする」ためには、免許を受けなければならないと規定されている。ところで「身体を摩さつし、押し、もむ」する等のいわゆるあん摩術が医行為に属し、これらの業務は、とにかく医業と密接な関係にあって、人の生命、身体に及ぼす影響も大きい点があることに鑑み、国は保健衛生上の見地から、かかる業務に従事することを一般的に禁止し、特に免許を受けた者のみが、自由になしうることを規定したものと解せられる。してみると、同法第一条は営業により利益を得ること自体を禁止しようとする趣旨ではなく、「業として」とあるのは、反復継続の意思をもって、施術を行うことをもって足り、現実に報酬を受け、または、これを目的とするか否かは、問わないものと解すべきである。
 
ところで、前掲各証拠を総合すると、被告人は、反復継続の意思をもって、反復継続して、あん摩行為をなしたことが充分認められるから、被告人が現実に受領した金銭の趣旨如何に拘らず、本件各所為はいずれも「業として」なしたものであると認めることができる。
よって、この点に関する被告人の主張も、また、これを採用することができない。
 
一、適条
(判示各所為) あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第一条、第十四条第一号
(併合罪加重) 刑法第四十五条前段、第四十八条第二項
(労役場留置) 刑法第十八条
(訴訟費用の負担) 刑事訴訟法第百八十一条第一項本文

3.いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について

○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について
(昭和三五年三月三〇日)
(医発第二四七号の一各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)
本年一月二十七日に別紙のとおり、いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決があり、これに関し都道府県において医業類似行為業の取扱いに疑義が生じているやに聞き及んでいるが、この判決に対する当局の見解は、左記のとおりであるから通知する。


1 この判決は、医業類似行為業、すなわち、手技、温熱、電気、光線、刺戟等の療術行為業について判示したものであって、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復の業に関しては判断していないものであるから、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復を無免許で業として行なえば、その事実をもってあん摩師等法第一条及び第十四条第一号の規定により処罰の対象となるものであると解されること。
従って、無免許あん摩師等の取締りの方針は、従来どおりであること。
なお、無届の医業類似行為業者の行なう施術には、医師法違反にわたるおそれのあるものもあるので注意すること。

2 判決は、前項の医業類似行為業について、禁止処罰の対象となるのは、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務に限局されると判示し、実際に禁止処罰を行なうには、単に業として人に施術を行なったという事実を認定するだけでなく、その施術が人の健康に害を及ぼす恐れがあることの認定が必要であるとしていること。
なお、当該医業類似行為の施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば、人の健康に害を及ぼす恐れがあるものとして禁止処罰の対象となるものと解されること。

3 判決は、第一項の医業類似行為業に関し、あん摩師等法第十九条第一項に規定する届出医業類似行為業者については、判示していないものであるから、これらの業者の当該業務に関する取扱いは、従来どおりであること。

別紙 略

○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について
(昭和三五年四月一三日)
(三五医第一六号)
(厚生省医務局長あて長崎県衛生部長照会)

医発第二四七号(筆者注:上記の通達)をもって通知がありました標記について更に疑義を生じましたので左記事項につき御教示承りたく照会いたします。


(1) 法第一条あんまのうちには指圧も含まれており無資格者がその行為を行えば当然取締りの対象となるものであるが、しかしいわゆる医業類似行為業のうち手技に指圧が含まれているとすれば、その指圧療法が無害であれば取締の対象とならないと思う如何にすべきか。

(2) 法第十九条第一項に規定する届出医業類似行為業者についての当該事務に関する取扱いは従来どおりとされているが無届者がHS式等同一器具を用い営業を行う場合は法の対象外となり法第十九条第二〜三項(医師法違反以外)についてもその対象とならず矛盾している。如何にすべきか。
予想される現象として、届出済の者で取締の対象から逃れるため、廃業届をする者が出てくると思われる。その結果は全くの野放し状態になるが、立法の主旨から考えて好ましいこととは思われない。


(昭和三五年六月一三日医発第四六七号)
(長崎県知事あて厚生省医務局長回答)

昭和三十五年四月十三日三五医第一六号をもって貴県衛生部長から照会のあった標記について、左記のとおり回答する。


1 昭和三十五年一月二十七日の最高裁判所の判決は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法(以下「法」という。)第十二条に規定する医業類似行為に関するものであり、法第一条に掲げる指圧を含むあん摩等は、判断の対象になっていないのであって、昭和三十五年三月三十日医発第二四七号の一本職通知第一項にいう手技にも指圧は含まれていないものである。
従って、あん摩師免許をもたず、かつ、届出により暫定的に指圧を行なうことを認められている者でない療術者が、客観的に指圧に該当する施術を業として行うのであれば、その事実をもって法第一条違反として、法第十四条第一号の規定により処罰の対象になるものと了解されたい。

2 法第十九条第一項の規定による届出の効果は、法第十二条の禁止規定にかかわらず、届出に係る医業類似行為を業として行なうことができることであり、法第十九条第二項及び第三項は、それに附随する規制であると解して取り扱われたい。
なお、HS式療法が無害であるとして本件報告が無罪となったものでないので、念のため申し添える

4.東京高裁昭和34年(う)2187号、昭和35年4月13日
東京高裁昭和34年(う)2187号、昭和35年4月13日
判例タイムズ104号45頁
下級裁判所刑事裁判例集第2巻3・4号361頁

要旨
1.湿熱療法を効果的ならしめるための身体に対する指圧は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法にいう「あん摩」に当たる。

2.指圧またはマッサージが、おおむね蒸風呂から上がってきた者に対して施されたものではあるが、蒸風呂とは、独立した別個の存在であったことが認められ、あん摩を業として行ったものとされた事例。

被告人 A
主文 本件控訴を棄却する。

諭旨第一点について
所論は要するに、本件は業としてあん摩を行ったものではない。被告人は本来湿熱療法(蒸風呂)を営むものであるが、この療法は長時間蒸風呂に漬かるため身体に疲労を覚えるので、これを癒し且つ同療法を効果的ならしめるため受療者を寝台上に安臥させて手指をもって背骨の両側や手足の急所を押圧したものであり、いわば湿熱療法に付随する後手当を施したに過ぎず理髪師が理髪後に行うの頭、肩の按撫打圧と同様のものであるから、これをもってあん摩を業として行ったということはできないと主張するのである。

よって案ずるに原審証人Bの供述記載及び被告人の司法警察員及び検察官に対する各供述調書の記載によれば、なるほど本件指圧又はマッサージは概ね蒸風呂から上がってきた者に対して施されたものではあるが、しかし右マッサージ等は内容効果からみて一般あん摩師の行うものと少しもかわるところはなく、その料金も蒸風呂代が1回150円であるに対し、入浴後のマッサージ代は300円ほどであり、単なる蒸風呂の付随的なものではなく、蒸風呂とは独立した別個の存在であったことが認められ、到底理髪師が理髪後に行う頭、肩の按撫打圧と同一視し得べきものではない。
原判決が本件をあん摩を業として行ったと認定したのはもとより正当であり、諭旨は理由がない。
(その余の判決理由は省略する。)

5.あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて
 
○あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて
(昭和三八年一月九日)
(医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)
標記については、東京都からの別紙1の照会に対し、別紙2のとおり回答したので通知する。
(別紙1)
あん摩師等法の施行にかかる疑義について
(昭和三七年八月六日 三七衛医医発第一七二号)
(厚生省医務局長あて東京都衛生局長照会)

1 法第三条第三号について
有資格者が開設する施術所において、無資格者をして法第一条の業務を行わせたとき、または行わせることを目的として無資格者を雇入れたとき、その開設者は法第三条第三号の規定による業務に関し不正の行為があった者と解されるか。
なお、資格を有しない者の開設する施術所に勤務する有資格者である施術者は、その施術所についてなんらかの管理をなすべき責を有するか。もし有するものとすれば、その勤務する施術所の開設者に法第三条第三号に該当する行為があったときは、当該施術所に勤務している資格を有する施術者に対し、第九条の処分を行うことができるか。
2 学校または養成施設の生徒の実習について
(1) 学校または養成施設の実習室において、生徒が実技の実習を行う場合、当該実技教員立合いのもとに、教員および生徒以外の者を、実習の対象として差支えないか。
(2) 学校または養成施設が、生徒の実習を目的として、つぎのところに実習所を設け、当該実技教員立合いのもとで、教員および生徒以外の者を対象として、実習を行うことは差支えないか。
ア 校舎または施設の敷地内
イ アの隣接地域
ウ アおよびイ以外の場所

3 あん摩行為について
別紙詰畩貽發里△麕猯犹行為について(昭和二十七年一月十一日医発第八号)および別紙玉橘筏あん摩師の取締り等について(昭和三十二年十一月二十日医発第一六六号)つぎのとおり疑義があるので、具体的にご教示願いたい。
別紙気痢崢名鏝衆浴場において行われている程度」および別紙兇痢峪間、刺戟の強さ等から総合的に判断して」に関し、これらをあん摩師の行う業務と明確に区別するに必要な、総合的判断をなす基準を明示されたい。

4 法第三条第四号について
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第五条から第十三条までの刑事処分を受けた有資格者である施術所開設者または施術者は法第三条第四号に該当する者と認められるか。

(別紙)
機〕畩貽發里△麕猯犹行為について
(昭和二十七年一月十一日医発第八号)(抄)
浴場内でサービス婦女子が客に対して行うもみ、たたき等の行為が通常の公衆浴場において行われている程度を超える場合は、あん摩師の業務と認められるべきものと解する。

供〔橘筏あん摩師の取締り等について(抄)
(昭和三十二年十一月二十日医発第一六六号)
(前段略)なお、いわゆるトルコ風呂等において行われるもみ、たたき等の行為であっても時間、刺戟の強さ等から総合的に判断してあん摩行為と認められる場合があるが………
(以下略)

(別紙2)
あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所に在学している者の実習等の取り扱いについて
(昭和三八年一月九日 医発第八号)
(東京都知事あて厚生省医務局長回答)
昭和三十七年八月六日三七衛医医発第一七二号をもって貴都衛生局長から照会のあった標記については、左記のとおり回答する。

1について

(1) あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師法(以下「法」という。)第一条に規定する者(以下「有資格者」という。)が、あん摩、はり、きゅう又は柔道整復を業とすることができない者(以下「無資格者」という。)に法第一条違反の行為を行なわせた場合及び無資格者の法第一条違反の行為を援助した場合は、いずれもその有資格者は法第三条第三号に規定する「第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があった者」に該当する。
しかし、有資格者が、法第一条違反の行為を行なわせる目的を有していたとしても、無資格者を雇用したに止まり、その無資格者に同条違反の行為を行なわせるには至っていない場合は、同条違反の行為の実行がないので、「第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者」に該当しない。

(2) 無資格者が開設する施術者に勤務する有資格者は、法律上当然に当該施術所の管理責任を負担するものではない。また、法第九条の規定による行政処分を行なうことができるのは、その有資格者自身が法第三条各号の規定に該当する場合に限られる。

2について
あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師を養成する学校又は養成所(以下「養成施設」という。)に在学する者(以下「生徒」という。)が行なう実習の対象者については、格別の制限はない。また、実習は、原則として、養成施設内の実習室において行なうよう指導されたいが、そこで行なうだけでは十分な効果をあげ得ない事情がある場合には、実技教員の施術所等適当な施設を選定して行なわせることとしてもさしつかえない。
なお、無資格者たる生徒の実習が法第一条違反とならないのは、それが有資格者たる実技教員の直接かつ具体的な指示を受けて行なわれるものであり、したがってその生徒が主体的に施術を行なったものとは解されないからである。従って、例え実習の目的を持って行なったにしても、実技教員の直接、かつ、具体的な指示を受けることなく生徒が自主的に施術行為を行なった場合は、それが適法な実習とは認められないことはいうまでもなく、法第一条に抵触することとなる。

3について
法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去又は疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。
通常の公衆浴場内や理容所内で、一般に、数分の間行なわれている程度の行為は、医学上及び社会通念上そのような効果を目的としているものとは判断し難いし、また実際にもそのような効果を生じ得ないものと考えられるが、所謂トルコ風呂等において行なわれている行為の中には、その広告、施術の実態等から判断して法第一条のあん摩に該当するものも多いものと考えられるので、あん摩師の免許を有しない者が、有資格者の直接、かつ、具体的な指示のもとに、即ちその補助者として(手足として)行なっている場合を除き、個室等において主体的に施術行為を行なっている場合は、実態を調査のうえ、取り締りの措置を講ぜられたい。

4について
お示しの者は、法第三条第四号に該当する。 
 

免許と名称

以下の画像は山形市内でマッサージを名乗っているお店のパンフレットや看板です。

さて、どちらがあん摩マッサージ指圧師の免許のあるお店で、どちらが無免許でしょう?
両方ともちゃんとマッサージの文字が入っていますね。

無免許マッサージパンフレット
   無免許マッサージ看板 

正解は後ほど。



岩手で無免許医師が逮捕されました。
まだ診療をしてないのに逮捕です。

これは医師免許を持たない者が医師と名乗ってはいけない、と医師法に明記されているからです。
だから実際に医行為を行わないうちから逮捕できるわけです。

こういうのを名称独占と言います。
名称独占のみの資格は結構多いです。

一方、業務独占というのもあります。
その免許が無ければやってはいけない、ということです。

運転免許もそうですし、医師免許もそうです。
そしてあん摩マッサージ指圧師も業務独占が法律で定められています。

ところが「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(あはき法)では名称独占に関する条文がなかったりします。

なので無免許でマッサージ師と名乗ってもそれだけで罰することはできなかったりします。

そしてマッサージというメニューも名乗るだけなら罰することはできません。

実際は法律に定められているマッサージとは違う、と主張すればいいのだとか。
変な話です。

マッサージに免許が必要なことを知らない人が多いのですが、免許が必要なことを知っている人の場合、名称独占ではないことまで知っている人ってどのくらいおられるのでしょうか?

名称独占でないことを知らない場合、
堂々とマッサージと書いてあれば免許を持っていると誤認しそうですが取り締まる法律もないのです。


で、最初の質問の答えですが、両方とも無免許です。

無免許は言い過ぎかも知れませんが、免許を持っている者が業務を行うのに必要な
保健所への届出は出されておりません。


確実なのはやっぱり保健所に聞くことなんですよね。
でもそこまで手間をかけられないのが普通の方だと思いますので、確実に免許を持ってる人を見分ける方法を書きます。

1.山形市なら老人鍼灸マッサージ助成券が利用可能
2.健康保険を使える
3.鍼灸治療を行っている

この3つの条件のうち、1つでも当てはまれば国の免許を持った治療院と言えます。
全部当てはまらないからといって無免許と断定することもできないのですが、あくまでも簡便な見分け方ですから。
無免許ならどれ1つ当てはまりません。


ここからはプロバイダ様への伝言です。

写真のお店から削除要請が来るかも知れませんが、名誉毀損に関して刑法では

(名誉毀損)
第二百三十条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(略)

(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二  前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2  前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
(略)

と、
公益目的の言論を保護しています。

マッサージを名乗る業者がマッサージの免許を持っているかどうかは過去の記事にも書いているように公益(国民の健康、公衆衛生)に関わる問題なのです。
保健所への届出がないことは確認済です。


事実誤認として削除される場合には山形県村山保健所保健企画課医薬事室にご確認の上、判断してくださるようお願い致します。


自由競争は万能か?

 無免許の方々は言います。
「悪質な業者は自由競争で排除される。免許所持者こそ規制の上にあぐらをかいている」と。

さて、本当に悪質な業者は排除されるのでしょうか?
免許制度というのは既得権益を守る手段でしかないのでしょうか?


悪質な業者が刑事告訴や訴訟に持ち込まれるとは限らないのは前のエントリーで書いたとおりです。



そして保健所はこれらの業者に関して行政措置をする法的根拠がありません。
刑事で立件されない限りは介入できないし、なんらの許可を与えているわけではないのでその許可を取り消す、という処分もできません。



たとえば飲食店を考えてみましょう。
飲食店を営むためには保健所の許可が必要です。
食中毒を起こせば保健所が立ち入り検査をし、場合によっては業務停止にします。
刑事処分が決まる前にです。
よくニュースにもなりますね。

無免許業者にはこんな規制はありません。
業務の許可をもらっていないので、停止もされません。


これが免許を持って、保健所に届けていますと衛生に関し問題があると疑われれば保健所が調査しますし、調査を拒否すれば罰金刑、さらには免許剥奪まであり得ます。
調査に応じても問題があるとなれば業務停止もあり得ます。

規制、つまり行政の許認可がなければこのような監視もできないわけです。

人口が少ないところであれば口コミで淘汰できるかも知れませんが、人間関係が薄い都市部では都合の悪い話も広まらないものです。

刑事処分でもされない限り、無免許業者に関しては行政として情報を集めることもできませんし、公表することもできません。

とある無免許業者が過去に健康被害を発生させても恫喝したり、示談して刑事事件にならないようにしてるのか、本当に無事故なのかは誰も保証できないのです。

そして恫喝するような業者に行って、健康被害に遭いますと被害の補償を求めることも困難となります。

免許を持って届出をしてる者に対しては刑事処分が無くても被害者から相談を受けた時点で行政は行動できるわけです。

SNSでの相談例では訴訟を起こそうにも相手の身元を特定できない、という相談もありました。
許可が不要ですから税務署以外に情報を行政に出す必要がないのです。
そして国民を守ることは税務署の直接の目的ではないので業者に関する情報を教えてもらえません。

土地や建物の賃貸契約は私人間の契約ですので教えてもらえるとは限りません。
また施術者の名前だって本名かどうかはだれもわからないのです。

これが免許を持っている者ですと保健所に免許を提示しなければなりません。
偽名登録は不可能です。
偽名を使って、利用者からその名前で問い合わせをされれば無免許を雇っているのか?と調査対象になります。

そして保健所は公衆衛生の維持を目的としています。
自治体にも依るようですが開設者に関する情報は調べられたはずです。


ここまで読まれても「無免許業者にも善良な方もいるんだから目くじらを立てる必要は無いのでは?」と言えますか?

業者にとって不都合な情報が隠蔽されない、あるいは被害にあった時は補償を自動的にしてくれるなら利用者の自己責任で済むかも知れませんが、現実はそうではないのです。

無免許業者の被害者が闘うのは難しい

 とあるSNSで、無免許業者による健康被害を受けた方の相談を受けていました。

しかし警察から刑事手続きを進める上での精神的負担を教えられ、被害届を出すことを断念した模様です。

施術後、すぐに救急車で病院に運ばれたので被害届を出せば立件はそれほど困難ではないと思いますが、相手は恫喝するような人間ですので暴力団を相手にするのと同様の精神的負担がかかるのでしょう。

実際、私も無免許マッサージの取り締まり経験のある元警察官から、無免許マッサージ業者は法律を無視する連中なのだからそういう繋がりがあってもおかしくないので一人で闘うな、と警告されています。


私は犯罪被害者になった経験もなく、そこそこ法律の知識もあり、頼れる友人もいるためにこのような事態で泣き寝入りするということまで考えが及びませんでした。


全ての無免許業者が悪意のある人間ではないだろうから全ての無免許業者を悪として扱うことはこれまで避けてきました。

そして被害が出なければ刑事事件として手の打ちようがないのが現実なので、医師の方々へのお願いのページで刑事告訴を奨めるように書いていたわけです。

しかしこれでは不十分です。

被害にあっても不利益を回復する手段を取れない可能性がある以上、
無免許のところには絶対行かないようにご警告くださるよう、お願いもうしあげます。

特定の業者を名指しすれば名誉毀損の可能性も否定しませんが(ただし公共性のある目的ですから違法性は棄却されるかと思います。)、一般論で話す限りでは大丈夫でしょう。

根拠となるようなことはまた別のエントリーで書きます。

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